2023.07.06 2023.05.22
ユーザーはさまざまなサイトや広告を見てから、購入に至ります。購入経路が多様化したことにより、企業側はどのプロモーションが実際に成果につながっているのか、判断が難しくなっています。
この判断をするときに役立つ「アトリビューション分析」について、今回は詳しく紹介していきます。
目次
アトリビューションとは?
アトリビューション(Attribution)とは、目的(コンバージョン)の達成に直接的に貢献したユーザーとの接点だけでなく、そこに至るまでの過程上にある複数の接点に対してそれぞれ貢献値を割り当てる考え方です。
この考え方を利用して、実施した施策を、コンバージョンに直接結びついた部分以外の広告やメディアなども適切に評価して分析する手法が、アトリビューション分析になります。
アトリビューション分析の広告運用における重要性
インターネットの普及により、ユーザーが情報を受け取る接点が多様化しました。その影響により、ユーザーはさまざまな広告やサイトを経由したあとに商品やサービスの購入を行うようになりました。
そのため、企業側は次の理由からアトリビューション分析を使用したうえで、プロモーションの最適化を図る必要性が高まっています。
広告を正しく評価するため
従来通りの評価方法では、直接コンバージョンにつながったユーザーとの接点(広告)しか評価することしかできません。
これでは、ユーザーが商品やサービスを「認知するきっかけとなった広告」や「興味関心を強めた広告」への評価が低くなってしまいます。
もしかすると、貢献度の低さから、これらの広告の配信を停止してしまうかもしれません。それによって、新規ユーザーと接する機会が減ってしまい、最終的には売上が伸び悩む可能性が出てきます。
アトリビューション分析を用いることで、コンバージョンに間接的に貢献している広告を発見でき、プロモーション全体を最適化できるでしょう。
最適な広告予算のアロケーション設計に役立つため
アトリビューション分析は広告予算のアロケーション設計に役立ちます。
アロケーション(allocation)とは日本語では「割り当て」や「配分」という意味を持つ英単語です。ビジネスにおいては、予算や資源を適切に配分するという意味になります。
広告運用では、配信媒体全体での獲得効率を最大化するためにも、広告予算のアロケーション判断が必要になります。
アトリビューションの視点から広告予算のアロケーション判断をすることで、間接効果を加味したうえで、コンバージョンに貢献している広告への注力が可能になります。
アトリビューション分析に向いていないケース
アトリビューション分析が必ずしも有効となるわけではありません。
アトリビューション分析は、ユーザーがいくつかの広告やサイトを経由してコンバージョンにつながった場合に有効な分析方法です。
そのため、以下のような場合に当てはまると、効果はあまり期待できないでしょう。
比較検討期間が短い場合
通販サイトや引越し業者の比較サイトなどは、そのサイト内で比較や検討をする可能性が高いです。
購入までがひとつのサイト内で完結するため、コンバージョンにつながるまでの接点が少なく、それぞれの貢献度を考える必要はあまりないでしょう。
コンバージョンまでの経路がシンプルな場合
消費財を取り扱うサイトなどは、商品やサービスをどこで購入しても差が少ないために比較検討がされにくい傾向があります。
ユーザーはほしい商品に対して最短距離で購入に至るため、コンバージョンまでの経路がシンプルになり、アトリビューション分析の効果はあまり出ないでしょう。
アトリビューションモデルの種類と特徴
では、実際にアトリビューション分析を行う際に活用するアトリビューションモデルについて紹介します。
このモデルを基にして、どのように貢献度を割り振るかを決めます。
適切なアトリビューションモデルを選択することで、予算を効率よく運用できます。
アトリビューションモデルには主に5種類あります。
ラストクリックモデル
コンバージョンにつながった経路のうち、直接結びついた接点(最後にクリックされた広告)のみに貢献度を割り当てるモデルです。
ラストクリックモデルは、取り入れられる機会が多くあります。
Google広告も、元々はこのモデルをデフォルトとして設定されていました。しかし、2023年6月から、あとに紹介するデータドリブンモデルへとデフォルト設定が変更されました。
特徴として、コンバージョンにいちばん近い接点を評価するため、費用対効果と合わせやすいことが挙げられます。
コンバージョンに直接貢献した広告やキーワードを重要視したい場合に、このモデルを活用することが多くあります。
短期間でおこなう期間限定キャンペーン用の広告や、顕在顧客に対してアプローチする広告を評価するときに有効活用できます。
ファーストクリックモデル
コンバージョンにつながった経路のうち、最初に接点を持った広告のみに貢献度を割り当てるモデルです。
初めてユーザーが接点を持った広告やキーワードを重要視する場合に活用することが多くあります。
認知を獲得するために、ビッグワードを起点としておこなう施策や、潜在層のユーザー向けに広告を配信するときに有効活用できます。
線形モデル
ユーザーが接点を持った全ての広告に均等に貢献度を割り当てるモデルです。
コンバージョンに至った全てのユーザーが同じ順番で広告を見るとは限りません。
たとえば、上の図でユーザー①が「広告A→B→C→D→CV」という経路をたどったとします。しかし別のユーザー②は、「広告A→C→B→D→CV」という経路をたどりました。
このように、広告を閲覧した順番は違っても同じ広告を見ているということもあります。
経路上の全ての接点に一律の貢献度を割り当てることで、どの接点(広告)が効果があったかを把握するときに役立つでしょう。
減衰モデル
ユーザーが接点を持った全ての広告に貢献度を割り当てるモデルです。
ただし、よりコンバージョンに近い接点(広告)を重要視して、コンバージョンから離れていくほど徐々に貢献度の割合が少なくなるように振り分けます。
線形モデルと同様に、全ての接点(広告)を評価したいけれど、費用対効果も担保したいというときに有効活用できます。
接点ベースモデル
ユーザーが接点を持った全ての広告に貢献度を割り当てるモデルです。
ただし、最初と最後に接点となった広告にそれぞれ40%ずつ貢献度を割り当て、それ以外の接点となった広告で残りの貢献度合いを均等に振り分けます。
こちらも線形モデルと似ていますが、特に最初と最後に接点を持った広告を重要視したいときに活用されます。
Google広告におけるアトリビューションモデル
データドリブンアトリビューション(DDA)
アトリビューションモデルの1種で、Google広告にて利用できます。Google広告の推奨モデルで、ほとんどのコンバージョンアクションの場合でデフォルトの設定になっています。
このモデルは、アカウントに蓄積されている、過去のデータに基づいてコンバージョンへの貢献度を割り当てます。先に紹介した5つのモデルとはちがい、アカウントのデータを利用して各広告の貢献度合いを計算します。
Google広告ヘルプには、このモデルを利用するメリットとして、次のものが挙げれています。
- 特に成果の高いキーワード、広告、広告グループ、キャンペーンを把握できる。
- アカウントの特定の掲載結果データに基づいて、入札単価を最適化できます。
- 推測に頼らずに、最適なアトリビューションモデルを選択できます。
一方で、コンバージョンアクションの種類によっては、蓄積されているデータが参照するには不十分だとGoogleに判断されてしまう場合があります。
サポート対象ネットワークで 30 日以内に 300 回以上のコンバージョンと 3,000 回以上の広告インタラクションが必要な場合があります。このようなタイプのコンバージョン アクションのデータドリブン アトリビューションの使用中に、過去 30 日間でサポート対象ネットワークでの広告インタラクション数が 2,000 回未満に減少するか、コンバージョン アクションのコンバージョンが 200 回未満になると、このモデルの利用を継続できなくなります。
このような状態が30日間続いた場合、選択モデルがラストクリックモデルに切り替わる可能性があります。
Google広告での使い方
Google広告で使用する際の設定方法と確認方法を紹介します。
アトリビューションモデルの設定方法
-
-
- ツールと設定アイコンから「コンバージョン」を選択します。
- 「新しいコンバージョンアクション」をクリックします。
- 計測したいコンバージョンの種類を選びます。
- 選択したものに合わせて必要な情報を入力します。
たとえば、ウェブサイトを選択した場合は、サイトのURLを入力後、「手動でコンバージョンアクションを追加」を選択します。
- コンバージョンアクションの詳細にて、下部に「アトリビューションモデル」の欄があるので、そこで希望のモデルを選択します。
「完了」をクリックします。
- ツールと設定アイコンから「コンバージョン」を選択します。
-
また、アトリビューションモデルは途中からでも変更できます。
-
-
- ツールと設定アイコンから測定欄の「コンバージョン」を選択します。
- 表内で、編集するコンバージョンの名前を選択します。
- 「設定を編集」をクリックします。
- 「アトリビューションモデル」をクリックし、プルダウンメニューからアトリビューションモデルを選択します。
「保存」「完了」の順にクリックします。
-
アトリビューションモデルの比較方法
-
-
- ツールと設定アイコンから測定欄の「アトリビューション」を選択
- ページメニューから「モデル比較」をクリック
- 「ディメンション」プルダウンメニューからオプションを選択
- 「比較」と「比較対象」のプルダウンメニューを使用して、表示して比較するアトリビューションモデルを選択
-
アトリビューションモデルの確認方法
アトリビューションモデルの確認はGoogle広告の管理画面からできます。
-
-
- ツールと設定アイコンから測定欄の「アトリビューション」を選択
- コンバージョン経路から、ディメンションの「キーワード」を選択
- キーワード単位のコンバージョン経路が確認可能
-
Google広告のアップデートによる変更点
ここまでで、アトリビューションモデルについて計6種類紹介しました。
ですが、Googleが2023年4月にGA4では4種類のアトリビューションモデル、「ファーストクリック」「線形」「減衰」「接点ベース」のサポートを終了すると発表しました。
2021年10月から「データドリブン」がデフォルトのアトリビューションモデルとなっています。この変更もひとつの要因となり、現在はデータドリブンが最も多く使用されています。
そのため、上記4つのモデルの使用率は3%以下になっているとのことです。
このような背景から、「ファーストクリック」「線形」「減衰」「接点」のサポートが終了となります。
2023年6月以降これらのモデルを新規での使用ができなくなります。現時点でこれらを使用している場合は、2023年9月以降に「データドリブン」のモデルに移行されます。もしデータドリブンモデルの使用を希望しない場合は、手動でラストクリックモデルに変更します。
参考元:アトリビューションモデル「ファーストクリック」、「線形」、「減衰」、「接点ベース」のサポートは終了します(Google広告 ヘルプ)
まとめ
いかがでしたか?
インターネットの普及により、ユーザーがさまざまな経路から購入するようになった現代で、何が本当に効果が出ているかしっかり見極める必要が増えてきました。
プロモーション全体の効果をきちんと測るためにも、ぜひアトリビューション分析を活用してみてください。
marke@bcj
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