2025.04.04 2025.04.04

顧客一人ひとりの行動を可視化し、マーケティング施策の精度を高める――そんな課題に直面している企業にとって、RFM分析は非常に有効な手法です。RFM分析は、「直近の購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」の3つの指標を用いて、顧客をスコアリング・分類し、状態に応じたアプローチを可能にします。リピーターの育成や休眠顧客の掘り起こし、キャンペーン設計の見直しなど、業種を問わず活用できる点が特徴です。
本記事では、RFM分析の基本から実務での活用方法、さらにはExcelやBIツールを使った実践的な手法、導入時の注意点までをわかりやすく解説します。自社の顧客データを最大限に活かしたいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
RFM分析とは|3つの指標で顧客を可視化する手法
RFMの意味と成り立ち
RFM分析とは、顧客の購買行動を「Recency(直近購買日)」「Frequency(購買頻度)」「Monetary(累計購買金額)」という3つの視点から数値化し、顧客をグループ化・可視化する手法です。もともとはダイレクトマーケティングの分野で発展し、効果的なターゲティングを実現するために使われてきました。現在ではECサイトや小売、SaaS、BtoBといった幅広い業種で導入され、CRM(顧客関係管理)やLTV(顧客生涯価値)最大化の文脈で注目を集めています。
この3指標はそれぞれ以下のような意味を持ちます。
- Recency(リセンシー):直近でいつ購入したか(例:最後の購入日が最近ほど高スコア)
- Frequency(フリークエンシー):一定期間内の購入回数
- Monetary(マネタリー):累計購入金額や1回あたりの平均購入額
これらの指標によって、顧客の「現在の価値」と「将来の期待値」を定量的に把握できます。
RFM分析でわかること(休眠顧客やロイヤル顧客の見分け)
RFM分析を実施することで、顧客の購買傾向に基づいた具体的なセグメント分けが可能になります。代表的な顧客セグメントは以下の通りです。
- ロイヤル顧客:R・F・Mすべてが高スコア。長期的に価値の高い顧客。優遇施策やVIP対応が有効です。
- 新規優良顧客:Rが高く、F・Mは中程度。今後の定着化を目指すフェーズ。エンゲージメント強化が鍵です。
- 休眠顧客:Rが低く、F・Mが高い。かつては優良だったが離れてしまった層。再アプローチや再訴求が必要です。
- 離脱傾向の顧客:R・F・Mいずれも低下傾向。フォローアップと態度変容を促す施策が求められます。
このように、誰に・どのような施策を打つべきかを明確にする点で、RFM分析は非常に実用的です。
類似分析との違い(デシル分析・CPM分析など)
RFM分析と混同されがちな手法に「デシル分析」や「CPM分析(Cost Per Mille)」がありますが、それぞれ目的や強みが異なります。
手法名 | 主な対象 | 特徴 | 主な活用目的 |
---|---|---|---|
RFM分析 | 顧客行動 | 購買履歴に基づいた三軸評価で、個々の顧客を可視化 | CRM施策、LTV向上 |
デシル分析 | 購買金額 | 顧客を購入金額で10等分する単軸評価 | 優良顧客層の抽出 |
CPM分析 | 広告・メディア | 千人あたりの広告費用を算出する評価 | 広告効果の測定・改善 |
RFM分析は顧客単位で行動履歴をもとに評価するため、パーソナライズされた施策の設計に向いています。一方、デシル分析やCPM分析はより単純化された評価で、施策立案の入口として使われることが多い手法です。
RFM分析のやり方|基本ステップと実務フロー
ステップ1:課題と仮説の設定
RFM分析を効果的に活用するためには、最初に「なぜRFM分析を行うのか?」という目的と仮説を明確にする必要があります。分析は手段であり、目的が曖昧なままでは得られた結果をどう活かすかが不明瞭になってしまいます。
たとえば次のような課題が想定されます。
- リピーターが増えないため、購入履歴から傾向を把握したい
- 休眠顧客への再アプローチがうまくいかない
- 優良顧客への施策が感覚的で、根拠がない
これらの課題に対して「●●な顧客はRFMスコアでこう分類できるのではないか」「●●層には施策Aが有効では」といった仮説を立て、それを検証するスタンスで進めることが重要です。
ステップ2:必要な顧客データの収集と整理
RFM分析に必要なデータは意外とシンプルで、基本的には以下の3点です。
- 顧客ID(ユニーク識別子)
- 購入日(複数回の履歴)
- 購入金額(取引ごと、もしくは合計)
これらが揃っていれば、最小構成でRFM分析は実施可能です。ただし、データの正確性や一貫性は重要です。以下のようなチェックポイントをクリアしておきましょう。
- 同一顧客に複数のIDが付与されていないか?
- 購入日時や金額に抜けや異常値はないか?
- 分析対象期間は施策に対して妥当か?
必要に応じて、会員情報やチャネル別情報などの追加データも併用すると、より深い分析が可能になります。
ステップ3:スコア化と顧客セグメントの作成
データが整ったら、RFMの各指標を元にスコアリングを行います。一般的には、それぞれの指標を5段階(または10段階)に分けてスコアを付与します。
- Recency:最新の購入日が新しいほどスコアが高くなる
- Frequency:購入回数が多いほどスコアが高い
- Monetary:購入金額が大きいほどスコアが高い
それぞれのスコアを組み合わせて「555」「431」などの3桁コードを作成し、同じスコアグループごとに顧客セグメントを分類します。この分類により、「高頻度・高額・最近の優良顧客」や「過去に購入したが離脱した顧客」などが一目で把握できるようになります。
ステップ4:顧客ごとの施策立案と評価方法
分析結果をもとに、それぞれのセグメントに対して最適なマーケティング施策を立案します。たとえば以下のようなアプローチが考えられます。
- ロイヤル層(555):限定クーポンやVIPイベントの招待
- 離脱懸念層(311など):リマインドメールや特別オファー
- 新規顧客層(513など):次回購入を促すフォローメール
施策を実行したら、結果を検証して改善につなげるPDCAサイクルを回します。RFM分析は一度行えば終わりではなく、継続的に実施することでより高精度なセグメント設計と施策改善が可能になります。
RFM分析の活用シーンと業種別事例
ECサイトでのリピーター育成施策
ECサイトでは、顧客の行動ログが比較的整っており、RFM分析との相性が非常に高い業態です。特にリピーター育成やLTV向上を目的に活用されるケースが多く見られます。
例えば、直近で頻繁に購入している高スコアの顧客には「新作先行案内」や「限定クーポン」を配布することで、さらに購買意欲を高められます。一方、しばらく購入のない休眠傾向の顧客には「再購入促進キャンペーン」や「前回購入商品のリピート割引」を通じたアプローチが効果的です。
また、RFMスコアと商品カテゴリの購入履歴を組み合わせることで、「●●を買ったが最近購入していない」顧客群を抽出し、カテゴリ別のクロスセル・アップセル施策にもつなげられます。
実店舗での優良顧客抽出とキャンペーン設計
実店舗でもPOSデータや会員カード履歴が活用できる場合は、RFM分析の導入が進んでいます。特に高頻度で来店・購買しているロイヤル顧客に向けた優待やイベント施策は、顧客満足度の向上だけでなく、離脱防止にもつながります。
たとえば、RFMスコア上位の顧客にだけ「次回使える10%OFFクーポン」や「先行セール招待状」を送ることで、特別感を演出し、購買モチベーションを維持することができます。逆に、来店頻度が減少している顧客には「再来店促進クーポン」などを活用し、復帰を促す施策を展開するのが定番です。
実店舗ならではの接客・顧客対応をデジタルデータと連携させることで、より精度の高いOne to Oneマーケティングが可能になります。
SaaSやBtoBでの休眠復帰アプローチ
SaaSやBtoB分野でも、RFM分析は顧客管理・契約更新率向上のために活用される場面が増えています。特に「利用頻度」や「契約継続性」といった軸をFrequencyとして読み替え、適応する形が一般的です。
例えば、R(最近の利用)とF(利用頻度)が低下している企業には、アカウントマネージャーからの個別フォローや利用方法の再案内などを通じた復帰施策を行います。一方で、契約金額が大きく安定している顧客(Mが高い)には、アップセルやクロスセルを視野に入れた情報提供や限定機能の案内などを行うケースもあります。
RFM分析をベースにしつつも、業種に応じた指標の置き換えや解釈を加えることで、あらゆるビジネスモデルにフィットさせることが可能です。
Excel・BIツールで行うRFM分析の手法
Excelでの分析テンプレートと使い方の例
RFM分析は、Excelを使って手軽に実施できるのが大きな魅力のひとつです。特に小規模なチームや分析リソースが限られている場合には、まずExcelで試してみるのが現実的なスタートとなります。
以下のような構成でテンプレートを作成することが可能です。
顧客ID | 最終購入日 | 購入回数 | 累計購入金額 | Rスコア | Fスコア | Mスコア | 総合スコア |
---|---|---|---|---|---|---|---|
A1234 | 2025/02/15 | 5回 | ¥25,000 | 5 | 3 | 4 | 534 |
スコアの付与には、 四分位数(QUARTILE関数) や 順位(RANK関数) を活用し、それぞれの指標に対してランク付けを行います。集計関数やピボットテーブルを組み合わせることで、セグメントごとの分布や傾向の可視化も可能です。
テンプレートを一度作成しておけば、データを更新するだけで再分析できるため、定期的なモニタリングにも対応できます。
TableauやLooker Studioでの視覚化・自動化
BIツールを導入している企業では、Tableauや Looker Studio を用いたRFM分析の可視化・自動化が効果的です。これにより、担当者だけでなく関係部署全体で顧客の状況をリアルタイムに把握しやすくなります。
例えば、RFMスコアごとに色分けしたヒートマップを作成することで、ロイヤル顧客や休眠傾向の顧客を視覚的に識別できます。また、フィルター機能を活用すれば、任意の期間やカテゴリに絞って特定セグメントの動向を確認することも可能です。
さらに、Google スプレッドシートなどと連携することで、データ更新を自動化でき、分析作業の工数を大幅に削減できます。
無理のないツール導入の進め方
初めてRFM分析を行う場合、いきなり高機能なBIツールを導入するよりも、Excelなどで試作 → 効果実感 → 本格導入という段階的な進行が効果的です。
- 小規模運用から始める:まずは月次の売上データでExcel分析からスタート
- 汎用性の高いテンプレートを活用:社内共有や他部署との連携がしやすい
- BIツール選定は現場視点で:誰が見て、どんな判断をするかが導入成功の鍵
- 導入後も改善を前提に:RFM指標に加えて、属性情報やWEB行動データなどを追加していく
こうしたプロセスを経て、RFM分析を「やって終わり」ではなく、「成果につながる運用手段」として定着させることが重要です。
RFM分析のメリット・デメリットと注意点
顧客データを活用できる利点
RFM分析の最大のメリットは、自社に蓄積された購買データを根拠として、顧客の現在の状態を明確に分類できることです。感覚や経験に頼らず、行動履歴に基づくスコアリングを通じて、マーケティング施策の論拠が明確になります。
特に以下のような利点があります。
- ターゲット施策の精度向上:RFMスコアに基づいて、ロイヤル顧客、休眠顧客、新規顧客などを分類し、それぞれに最適な施策を設計できる
- 業務の効率化:施策対象の優先順位が明確になることで、無駄なアプローチやリソースの分散を避けられる
- 施策結果の検証がしやすい:スコアごとの効果比較が可能なため、PDCAを回しやすく、改善につなげやすい
- 社内共有の共通言語になる:マーケティング・営業・経営層間で「顧客の状態」をスコアで共有でき、意思決定がスムーズになる
こうしたデータ活用によって、マーケティング活動の再現性や納得感を高められる点が、RFM分析の本質的な価値といえるでしょう。
データが偏る/古いなどの失敗パターン
一方で、RFM分析にもいくつか注意すべき落とし穴があります。代表的な失敗パターンは以下の通りです。
- データの期間が偏っている:短期間の売上データだけで分析すると、たまたまの行動が過大評価されてしまう
- データが古い/更新されていない:分析結果が実態とズレている場合、誤った施策判断につながる
- スコア基準が不明瞭:どうやって5段階に分けたのかが社内で共有されておらず、分析の信頼性が揺らぐ
- 顧客の意図や満足度を反映できない:RFMはあくまで「行動」に基づくため、心理面や背景までは読み取れない
こうした課題を防ぐには、分析対象期間を意図的に設計することや、常に最新データを用いる体制づくりが重要です。
属性分析や心理分析との併用で広がる可能性
RFM分析の限界を補い、より高精度なマーケティング施策へと発展させるには、他の分析手法との組み合わせが効果的です。
特に有効なのが以下のアプローチです。
- 属性分析との併用:年代・性別・地域などを掛け合わせ、セグメントごとの傾向を詳細に把握
- NPSや満足度アンケートと連動:スコアだけでなく「顧客の声」を含めた分析で、改善の方向性が明確に
- ウェブ行動分析との統合:メール開封率、ページ閲覧履歴、アプリの利用状況などから、購入前行動も評価
このように、RFM分析を基盤にしつつ、定性的な情報や複数チャネルのデータを組み合わせることで、顧客理解の深度と施策の実効性をさらに高めることができます。
自社の課題に合わせた支援とは?マーケティング成功への第一歩
自力でのRFM分析が難しいケースとは
RFM分析は比較的シンプルな理論に基づいていますが、いざ実務で行うとなると、データ整備・スコア設計・分析結果の解釈・施策への落とし込みといった複数のステップを適切に進める必要があります。
以下のような状況では、外部の専門家による支援を検討する価値があります。
- 顧客データはあるが、整備・抽出が社内で難しい
- 分析はできても、そこから施策につなげるアイデアが出ない
- スコアの設計方法に確信が持てず、部署間で判断が分かれる
- BIツールなどの導入や可視化まで手が回らない
こうした場合、マーケティングとデータ分析の両方の視点を持った外部パートナーに相談することで、プロジェクトの進行速度と成果の質を大きく高めることができます。
顧客セグメント設計と施策実行を一貫支援
マーケティングにおいて最も大きな成果を得るには、「分析で終わらせず、施策に落とし込むこと」が不可欠です。RFM分析の結果をもとに、ターゲットの絞り込み、メッセージの最適化、キャンペーン実行と効果測定までを一貫して進める体制が求められます。
たとえば以下のような流れが理想的です。
- データ取得・クリーニング
- RFMスコアの設計とセグメント分類
- 各セグメントごとの施策プラン策定
- メール/広告/LINEなどチャネルごとの施策実行
- 効果測定と次回施策へのフィードバック
このようなPDCAを外部パートナーと一緒に回すことで、RFM分析が“現場で使えるマーケティング武器”として機能しはじめます。
まとめ|RFM分析でマーケティング施策に確かなロジックを
RFM分析は、顧客の「いつ」「どのくらい」「いくら使ったか」というシンプルな指標に基づき、マーケティング活動をより論理的かつ実践的に進めるための強力な手法です。売上や顧客数をただ追いかけるのではなく、「誰に」「どのように」アプローチすべきかを可視化できることで、施策の的中率を高めることができます。
この記事では以下のポイントを解説してきました。
- RFMの基本構造と他の類似分析との違い
- 分析を進めるためのステップと実務フロー
- 業種別の具体的な活用シーンと事例
- ExcelやLooker Studioを使った実装方法
- メリットと注意点、分析を成果につなげる視点
- 外部支援を活用した施策実行の進め方
最も重要なのは、分析で得られた気づきを“行動”に変えることです。データに基づいたセグメント設計を施策につなげ、検証を繰り返していくことで、マーケティングの再現性と精度が高まっていきます。
RFM分析は決して難解な手法ではありません。まずは手元のデータから小さく始めてみることが、顧客理解と成果向上の第一歩となるはずです。

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