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2025年上半期、広告業界はどう動いた?広告エキスパートと振り返る最新トレンドと下半期の見通し

2025.07.23 2025.07.23 

2025年上半期、広告業界はどう動いた?広告エキスパートと振り返る最新トレンドと下半期の見通し

2025年上半期、広告業界では何が起きていた?

2025年も、あっという間に半分が過ぎましたね。
この上半期、広告業界はますますスピード感のある変化にさらされていたように感じます。

「2025年の広告トレンドって何で、現場ではどう見られてた?」
「今のうちに知っておきたい広告戦略の最新動向って?」

そんな疑問を抱いている方も少なくないのではと思います。実際、現場にいる広告主やマーケターの方々にとっては、「ちょっと立ち止まって、全体の流れを整理したい」というタイミングかもしれません。

ということで今回は、2025年上半期に広告業界で注目されたテーマや、現場で実際に起きていた変化について、当社の代表取締役会長で、広告業界歴15年以上の里村に話を聞いてみました。


里村 仁士(さとむら ひとし)
ブルースクレイ・ジャパン株式会社(代表取締役会長)/ 一般社団法人ウェブ広告協会(代表理事)
2013年、国内で5人目のGoogle広告 トップコントリビューターとしてGoogle社より認定。Google社の公式イベントにも複数登壇。インハウス支援やマーケッターの育成サービスの提供も行っている。

最前線のプロが語る!2025年上半期「注目のWeb広告トレンド3選」

Q:2025年も変化の多い年ですが、上半期を振り返って、広告まわりで「印象的なトピック」を挙げるとすれば、どんなものがありますか?

里村:そうですね、大きく3つあると思います。
1つ目は、GoogleがサードパーティーCookieの廃止をやめたというニュースについて。
2つ目は、やはり生成AIまわりの進化と、広告領域への浸透。
そして3つ目が、自動化配信、いわゆるオートメーションの進化ですね。

それぞれ実務的にも影響が大きくて、現場ではかなり注目されていたテーマだと思います。

1.サードパーティーCookieの“廃止撤回”が意味するものとは

Q:1つ目の「3rd Party Cookie廃止の中止」について、どのように受け止めましたか?

里村:これまで何度も延期が続いていたので、スケジュールがまた後ろ倒しになる可能性は想定していましたが、“廃止を撤回する”という判断には正直驚きました。

ただ、廃止が取りやめになったからといって、状況が元に戻るわけではありません。すでにブラウザやOSの仕様変更によって、Cookieを使った計測は十分に難しくなってきていますし、広告配信における制限も残ったままです。

なので、引き続き3rd Party Cookieを前提とした配信戦略は見直す必要があると思っています。1st Party データの活用や、Cookieに依存しない配信・効果測定の体制づくりは、今後も継続して取り組むべきテーマですね。

2.生成AIの進化と、広告クリエイティブへの“使い方”

Q:次に、生成AIについてはいかがでしょうか?広告まわりでは、どんな場面で活用が進んでいると感じましたか?

里村:2025年は生成AIの話題が一気に広がった年だと思います。広告に限らず、日常的にSNSなどでも生成AIを使ったコンテンツを見るようになりました。

広告まわりで言うと、特にクリエイティブ制作の分野で生成AIの実用性が一気に高まってきた印象があります。
たとえば、Chat GPTやImagen、Adobe Fireflyなどを使えば、広告用のコピーやビジュアル素材をかなりスムーズに準備できるようになりました。最近では、実写風の人物やアイテムの画像も精度が高く、広告制作の初期工程に活用する企業も増えてきていると思います。

一方で、広告媒体が提供しているAIクリエイティブ機能については、まだ十分に実用化されているとは言いがたいですね。実際に、AI機能が追加されたクリエイティブ生成ツール「LINE Creative Lab」なども試してみましたが、現時点では「ここでわざわざ作る必要はないな」というのが正直な感想です。

また、技術の進化とともに、社会的な懸念も無視できません。Deepfakeや音声の合成などで、“見た目には本物らしい”コンテンツが誰でも簡単に作れるようになった今、広告の信頼性そのものが揺らぎやすくなっていると感じます。
表現の自由度が高くなった分、どこまで使っていいか、どう打ち出すかは、広告主として慎重に判断していく必要があると感じています。

3.自動化配信が進化、でも“任せきり”で成果は出ない

Q:3つ目のテーマは「自動化配信の進化」ですね。これは運用現場にかなり影響が出てきているのではないでしょうか?

里村:まさにそうですね。Google広告のP-MAXキャンペーン、Yahoo!広告のスマートターゲティングなど、自動化プロダクトのアップデートが続いています。P-MAXキャンペーンについては、これまで課題だった「レポートの見づらさ」が徐々に改善されていて、たとえばどんなキーワードで検索されたのか、どの配信種類で効果があったのかなど、情報が可視化されるようになってきました。

昨年正式リリースされたYahoo!広告の新しい自動配信機能(スマートターゲティング)も、実際に成果が改善されたケースが多くて、弊社でも複数のクライアント様で実績が出ています。LINEヤフー社から取材を受けるほどで、非常に注目されている領域です。

\Yahoo!広告スマートターゲティング 改善事例/
🎤「BtoB企業KOMPEITO、ディスプレイ広告のスマートターゲティングで資料請求数9倍、受注件数160%増」(LINEヤフー社 事例インタビュー)
【記事はコチラ】https://www.lycbiz.com/jp/case-study/displayads-auc/kompeito/

また、Meta広告では広告入稿の際にオートメーション配信のMeta Advantageがデフォルトの設定になっていて、解除する手順が手間だったりします。

自動化配信の精度が高まってきたとはいえ、それをきちんと機能させるためには、周辺の環境を整えておくことが前提だと感じています。たとえば、しっかりと計測できる環境を用意すること、機械学習に与えるデータの質を高めていくことなどは、非常に重要です。

さらに、広告が配信されたあとのユーザー体験の設計、たとえばサイトやLPの内容、導線、コンテンツの整合性などは、自動化ではカバーできない領域です。

こういったオートメーションの”領域外”にある部分をどう作るかが、成果に大きく影響してくると感じています。だからこそ、改めて原点に立ち返って設計する力が求められてきていると実感しています。

2025年下半期、広告戦略はどう動く?いま注目すべき2つの焦点

2025年上半期、生成AIやCookieレス、自動化配信など、広告業界ではさまざまなテーマが注目されました。
それを踏まえて、では下半期はどう動くのか?広告主として今から備えておくべきことは何か?

上半期の振り返りに続いて、2025年下半期の展望と、注目すべき変化のポイントを聞いてみました。

①「誰もがAIで作れる時代」に、どう差別化する? 〜クリエイティブ戦略の再設計〜

里村:上半期を通じて、多くの企業が生成AIを活用した画像や動画の制作に本格的に取り組み始めました。
徐々に「生成AIで作られたクリエイティブ」が目新しいものではなくなり、生成AIによるコンテンツが広告として当たり前に並ぶ時代が見えてきています

今後は、世の中全体として生成AIで作られたものに対する抵抗感も薄れていくと思います。そうなってくると、生成AIを使っているというだけでは、もはや差別化にはならない。むしろ似たようなビジュアルやトーンの広告が並んでしまう中で、どうやって“自社らしさ”や独自性を出していくかが重要になってきます。

生成AIの比重を減らしてオリジナルの要素を強調するのか、それともAIを前提にしながらも編集や演出で工夫を加えるのか。そこは企業ごとに考え方が分かれる部分だと思います。

制作体制にも変化が出てくるはずです。生成AIを使うことでクリエイティブのPDCAはこれまで以上に高速化できると思いますが、一方で「何をもって良しとするのか」「どんな軸で判断するのか」といった評価の基準は、これまで以上に言語化しておかないと、判断がブレやすくなるとも感じています。

下半期は、単にAIを活用するだけでなく、自社として生成AIとどう向き合うか、その方針を明確にしたうえでクリエイティブ戦略を組み立てていくことが、より重要になってくると思います。

②メディア環境のアップデートにどう備える?

里村:下半期に向けて、主要プラットフォームの仕様や構想にも大きな動きが出てきています。
現段階で注目すべきは、GoogleとLINEヤフーの2つです。

まずGoogleでは、検索領域における「AI Max for Search キャンペーン」と呼ばれる新たなプロダクトが一部のアカウントで反映され始めています。これは、従来の検索広告とは異なり、P-MAXの検索特化版のような位置づけで、検索広告内での配信拡大を目的としたソリューションです。まだ本格展開前ですが、テスト導入や結果検証を通じて、どこまで成果改善が見込めるかを見極めるフェーズに入っています。

一方、LINEヤフーでは、2025年6月に「Yahoo! JAPANビジネスID」と「LINEビジネスID」を「ビジネスID」に統合することが発表されました。
これまではYahoo!広告とLINE広告が別々のプラットフォームとして運用されていましたが、今後は「LINEヤフー広告」としての統合プラットフォーム化が進められていく見込みです。来年の春頃には具体的なサービス展開が始まると想定しています。

これまで別々に戦略設計・運用していたYahoo!広告とLINE広告を「一つのプラットフォーム」としてどう活用するか?、今後の統合を見据えて体制や運用設計を見直すタイミングに差し掛かっていると言えます。

広告の自動化や生成AIの活用が当たり前になる一方で、
「最近、うちの広告ってどこか“よくある感じ”になってきてない?」
「1stパーティデータ、もっと活かせるはずなのに手をつけられていない…」
「機械学習を活かすための設計や改善が追いついてない気がする」
そんな感覚を持った方も多いのではないでしょうか?

弊社では、生成AIでクリエイティブ制作が効率化された一方で、成果につながる表現に悩む方や、1stパーティデータの活用・自動化の設計に手が回っていないといった現場の声に日々向き合いながら、実態に合った広告戦略の見直しと運用支援を行っています。

下期に向けて、さらに成果改善に取り組みたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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まとめ|2025年後半を見据えて、いま整えておきたいこと

2025年も折り返し地点を過ぎ、広告業界はこれまで以上に変化のスピードを増しています。
上半期は、生成AIの進化、サードパーティーCookieをめぐる動き、そして自動化配信の加速など、さまざまなトピックが注目を集めました。
下半期は、生成AIの活用方法を再定義したり、変化し続けるプラットフォームに合わせて戦略を調整したりと、「見直すべきこと」が多くなるタイミングかもしれません。

だからこそ、一度立ち止まって、「今の広告戦略は、自社の目的に合っているか?」「環境の変化に、ちゃんとついていけているか?」を見直してみることが、次の成果につながる一歩になるはずです。

Web広告の現場から ─ 里村のひとこと

新しい技術やツールに対しては、とにかく「まず試してみる」ことが大切だと思っています。
うまくいかないこともあるかもしれませんが、テクノロジーは常にアップデートされていて、状況もすぐ変わる。
だからこそ、変化を怖がらずに、前向きにトライ&エラーを重ねていってほしいです。

ただし、どれだけ技術が進化しても、ユーザーの体験価値や商品理解を深めるという本質的な部分は変わりません
技術に偏りすぎず、ちゃんとユーザーに向き合う姿勢を忘れずに持っておくこと。それが広告の土台になると感じています。

marke@bcj

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