2026.10.23 2026.10.23
LP(ランディングページ)の改善施策として、コピーやビジュアルを変更しABテストで効果を検証することは、有効な手法の一つです。
ファーストビューを変更する際には、離脱率の低下やCVR(コンバージョン率)の向上を期待することが多いのではないでしょうか。しかし、変更箇所に近い指標だけで効果を判断すると、重要な変化を見落としてしまう可能性があります。
実際にブルースクレイ・ジャパンが支援した人材業界のLPO施策では、ファーストビューのコピーとビジュアルを変更する2回のテストを実施。いずれもファーストビュー離脱率には大きな変化が見られなかった一方、本登録予約CVRや、その後の本登録完了率・キャンセル率では改善傾向が確認されました。
本記事では、これらのLPO事例を紹介するとともに、ヒートマップから考えられる改善要因や、効果的なABテストを実施するためのポイントを解説します。
LPOの効果を最大化するために重要な考え方

LPOとは?目的と基本的な考え方
LPO(Landing Page Optimization)とは、LPを訪問したユーザーの行動を分析し、ページの構成や訴求内容、デザインなどを最適化することで、CVRの改善を目指す手法です。
広告などから獲得したユーザーを、より効率的にコンバージョンへつなげられるため、LPOはCVR改善への近道となり得ます。
LPOでは、改善に着手する優先順位も重要です。
基本的な考え方の一つとして、「フォーム → ファーストビュー → CTA」の順に改善を検討する方法があります。
この考え方は、CVへの近さや、その要素に接するユーザーの多さを踏まえ、改善によるインパクトが期待できる箇所から優先的に取り組むというものです。
まずフォームは、CVするユーザーが基本的に操作する要素です。すでに申し込む意思を持つユーザーの取りこぼしを防ぐ意味でも、優先度の高い改善対象といえます。
次に、ファーストビュー(以下、FV)はLPを訪問したほぼすべてのユーザーが目にする部分です。第一印象を左右するため、訴求内容やビジュアルの改善が多くのユーザーの行動に影響する可能性があります。
CTA(行動喚起)は、CVを検討しているユーザーをフォームへ誘導する要素であり、配置や文言などが主な改善対象です。

もちろん、実際の優先順位はLPの課題によって異なります。重要なのは、アクセス解析やヒートマップなどのデータから改善余地の大きい箇所を見極め、仮説をもとにテストすることです。
CVR改善では、どこまでの成果を見るべきか?
LPOではLP上のCVR改善を主要な目的とするケースが多くありますが、LPでのコンバージョンが必ずしも最終的なビジネス成果とは限りません。
例えば、会員登録後に追加の申し込みや手続きが必要なサービスでは、LP上の登録数が増加しても、その後の手続きが完了しなければ、期待する成果につながらない場合があります。
こうしたケースでは、LP上のCVRに加えて、その先の完了率やキャンセル率まで確認することで、より事業成果に近い視点からLPOを評価できます。
また、LPの一部を変更した場合でも、必ずしもその箇所に近い指標だけが変化するとは限りません。今回紹介するのは、FVの変更によって最終的な歩留まりにも変化が見られた事例です。
ファーストビュー変更で最終的な歩留まりが改善したLPO事例
今回取り上げるのは、人材業界のLPにおいて、FVのコピーとビジュアルをそれぞれ変更した2回のABテストです。
対象のLPは、Web上での初期登録後に追加の予約手続きを行い、その後、本登録へ進む仕組みとなっています。
本記事では、LP上での初期登録を「仮登録CV」、その後の予約完了を「本登録予約CV」、予約後の実際の手続き完了を「本登録完了」と表記します。

評価指標としては、仮登録CVR・本登録予約CVRに加え、本登録完了率やキャンセル率も確認しました。
テスト① FVのコピー変更|訴求内容による効果を検証
1回目は、FVの訴求内容を検証するため、コピー変更のABテストを実施しました。
施策の概要は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
| 課題 | FV離脱率が高く、LP下部のコンテンツまで十分に閲覧されていない |
| 仮説 | FVの訴求がユーザーのニーズに合っていない、または具体性が不足している可能性 |
| 変更内容 | ユーザーに伝える価値や訴求軸を変更 |
| 期待する効果 | FV離脱率の改善 |

テスト結果
当初改善を期待していたFV離脱率には、ほとんど変化が見られませんでした。
一方、本登録予約CVRではテストパターンが優勢となり、オリジナルと比較して約2.0倍という結果に。
さらに、本登録完了率やキャンセル率でも改善傾向を示しており、FV離脱率だけでは捉えられない成果が確認できました。
テスト② FVのビジュアル変更|広告との親和性を検証
2回目は、FVのビジュアル変更による効果を検証しました。
前回のコピー変更では本登録予約CVRや本登録までの歩留まりに改善傾向が見られた一方、FV離脱率は依然として課題となっていたためです。
テストの概要は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
| 課題 | FV離脱率が高く、引き続き改善が必要 |
| 仮説 | 広告とLPのビジュアルにギャップがあり、ユーザーの離脱につながっている可能性 |
| 変更内容 | 広告クリエイティブとの視覚的な一貫性を高めるため、FVのビジュアルを変更 |
| 期待する効果 | FV離脱率・CVRの改善 |

テスト結果
今回もFV離脱率には大きな変化が見られなかったものの、仮登録CVRと本登録予約CVRではテストパターンが優勢となりました。
特に本登録予約CVRはオリジナルと比較して約4.8倍となり、本登録完了率やキャンセル率にも改善傾向が確認されています。
コピー変更テストと同様に、FV離脱率には表れなかった変化が、本登録までの歩留まりに見られる結果となりました。
2回のテストに共通して見られた変化
2回のテスト結果を整理すると、次のようになります。
| 評価項目 | コピー変更 | ビジュアル変更 |
| FV離脱率 | 大きな変化なし | 大きな変化なし |
| 仮登録CVR | 明確な優劣なし | テストパターンが優勢 |
| 本登録予約CVR | 約2.0倍 | 約4.8倍 |
| 本登録完了率 | 改善傾向 | 改善傾向 |
| キャンセル率 | 改善傾向 | 改善傾向 |
※改善倍率は、各テスト期間におけるオリジナルとの比較結果です。
両テストで共通していたのは、FV離脱率には大きな変化がなかったにもかかわらず、本登録予約CVRや本登録までの歩留まりに改善傾向が見られたことです。
FV離脱率だけで効果を判断していた場合、こうした成果を見落としていた可能性があります。
なぜFVの変更が本登録までの歩留まりに影響したのか?
今回の結果について、改善要因を考えるうえで参考になったのが、CVユーザーのヒートマップです。
CVユーザーのヒートマップから見えた閲覧行動の違い
本登録予約CVに至ったユーザーのヒートマップを分析したところ、オリジナルと比較して、テストパターンではLPの下部まで閲覧されている傾向が見られました。
その違いを、平均スクロール到達率で比較したものが以下のグラフです。

コピー変更テストでは、スクロール到達率に加えて、ページの平均滞在時間も長くなる傾向が確認されています。
このように、FV離脱率だけでは捉えられなかった閲覧行動の違いが、CVユーザーの分析から浮かび上がりました。
FVの印象が、その後のLP閲覧行動に影響した可能性
FVは、ユーザーがLPを訪問して最初に目にする要素です。今回の結果からは、コピーやビジュアルによって形成された第一印象が、その後のコンテンツへの関心や閲覧行動にも影響した可能性が考えられます。
対象LPの下部には、サービスの特徴や利用するメリット、利用の流れ、よくある質問など、ユーザーの理解や不安解消につながる情報が掲載されていました。
テストパターンでは、こうした情報に接する機会が増えたことで、サービスへの理解や納得感が高まり、本登録に進む意向やキャンセルの判断にも影響した可能性があります。
つまり、FVの変更によって、単にLPにとどまるユーザーが増えるのではなく、LPの内容をより深く閲覧し、サービスを理解したうえでCVするユーザーの行動に違いが生まれたのではないかという考察です。
ただし、今回のヒートマップは本登録予約CVユーザーを対象とした分析であり、LPを深く閲覧したことが直接的な改善要因だったと断定できるものではありません。
あくまで考えられる要因の一つですが、FVの変更が、CVに至るユーザーの閲覧行動や本登録までの歩留まりに関係する可能性を示した事例といえるでしょう。
LPOのABテストで押さえたい3つのポイント
今回の事例を踏まえ、LPOのABテストを実施する際に押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。
① 変更箇所を絞り、改善要因を検証しやすくする
ABテストでは、検証したい要素を明確にし、できるだけ変更箇所を絞ることが重要です。
例えば、FVのコピー、ビジュアル、CTAボタンを同時に変更すると、CVRが改善しても、どの要素が結果に影響したのか判断しにくくなります。

そのため、コピーを検証する場合はコピーを、ビジュアルを検証する場合はビジュアルを中心に変更するなど、目的に応じたテスト設計が効果的です。
今回も、コピー変更とビジュアル変更を別々のテストとして実施することで、それぞれの仮説と結果を分析しやすくしました。
もちろん、LP全体の大幅な改修など、複数の要素をまとめて検証することが適している場合もあります。
重要なのは、何を検証するテストなのかを事前に明確にし、結果を次の改善施策に活かせる状態にしておくことです。
② 訴求軸の検証から、具体的な表現の検証へと進める
複数のパターンを比較する場合には、何を検証するためのテストなのかを明確にすることが大切です。
特にFVコピーの改善では、まず訴求軸を比較し、その後に具体的な表現を磨いていくという進め方が考えられます。
例えば、「手軽さ」と「安心感」という異なる価値を比較することで、どちらの訴求がユーザーに響きやすいのかを検証できます。
その結果、「手軽さ」の訴求が優勢であれば、次に「簡単に申し込める」「最短3分で申し込み」といった具体的な表現を比較する流れです。

もちろん、細かなコピーやマイクロコピーの変更が大きな成果につながる場合もあります。
ただし、訴求内容そのものがユーザーに合っているか分からない段階では、似た表現を比較するだけでなく、まず異なる訴求軸を検証したほうが、改善につながる学びを得やすくなります。
「何を伝えるか」を検証し、その後に「どう伝えるか」を磨いていく。
こうした段階的なテスト設計によって、結果からユーザーのニーズを理解し、次に検証すべき施策を見つけやすくなります。
③ 変更箇所に近い指標だけでなく、その先の成果も確認する
ABテストでは、施策を実施した箇所に近い指標に注目しがちです。
例えばFVを変更した場合、まずはFV離脱率が改善したかどうかに目が向きやすいでしょう。
もちろん、この指標も施策の影響を把握するうえで重要ですが、それだけで成果を判断することは避けたいところです。
今回の事例では、FV離脱率に大きな変化が見られなかった一方、本登録予約CVRや、その後の本登録完了率・キャンセル率に改善傾向が確認されました。

このように、事前に改善を期待していた指標が変化しなくても、別の指標に変化が現れる可能性があります。
そのため、テストの目的に応じて評価指標を設定するとともに、可能な範囲で本登録までの成果を確認することが大切です。
また、結果は数値の大小だけで判断せず、統計的な評価や流入条件なども踏まえて判断する必要があります。
変更箇所に近い指標と最終的な成果を組み合わせ、多角的に分析することが、次の改善につながるLPOの実施には欠かせません。
まとめ|LPOは最終的な成果を見据えた改善が重要
今回ご紹介した人材業界のLPO事例では、FVのコピーとビジュアルを変更する2回のテストを実施しました。
いずれもFV離脱率には大きな変化が見られなかったものの、本登録予約CVRや本登録までの歩留まりで改善傾向が確認されています。
また、本登録予約CVユーザーのヒートマップでは、テストパターンのほうがLP下部まで閲覧される傾向も見られました。
この事例からも、LPOでは変更箇所に近い指標だけでなく、ユーザーの閲覧行動や最終的な成果まで確認することが重要だと考えられます。
ブルースクレイ・ジャパンでは、広告運用やLPOにおける課題を分析し、データに基づく仮説立案・施策実施・効果検証を通じて、ビジネス成果につながる改善を支援しています。
LPのCVR改善やABテストの進め方に課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
吉田実花
デザイン会社と保険代理店にてWEBデザイン、広告運用などWEB運用に幅広く携わってきたのちに、ブルースクレイ・ジャパンへ入社。 細やかな視点のデザインやライディング、ディレクションを得意とし、これまでに携わったLPのCVR改善率は平均170%を超える。
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