2025.08.05 2025.08.04

「サイトを新しくすれば、自然と検索順位も上がるはず」──そんなふうに思っていませんか? 実はサイトリニューアルをきっかけに、検索順位が急落し、アクセス数が激減するケースも少なくありません。どんなに見た目が洗練されていても、SEOを意識しないリニューアルは、これまで積み上げてきた成果をゼロにしてしまう可能性すらあるのです。
本記事では、SEOを考慮せずに進めてしまったリニューアルの失敗事例と、しっかりと戦略を立てて成功に導いた事例の両方をご紹介します。また、見落とされがちな注意点や、リニューアルを検討すべきタイミング、よくある質問も網羅的に解説。 「リニューアル=順位アップ」とは限らない現実を踏まえ、成果を維持・向上させるために、今知っておくべきポイントをお伝えします。
目次
1. リニューアルだけではSEO効果はついてこない
Webサイトをリニューアルすると、「新しくなったんだから、検索順位も上がるだろう」と期待されることが少なくありません。しかし実際には、リニューアル直後に順位が下がったり、アクセスが減ってしまうケースが多々あります。これは、SEOの基本的な構造や評価の仕組みを理解せずにリニューアルを進めてしまった結果と言えるでしょう。
誤解しやすい「サイトリニューアル=流入アップ」にならない理由
見た目のデザインやUI/UXの改善は、ユーザー体験の向上にはつながりますが、それだけでSEOが向上するとは限りません。検索エンジンが評価するのは、以下のような技術的・構造的要素だからです。
- URL構造やページ階層の整理状況
- 内部リンクやサイトマップの設計
- コンテンツの独自性と網羅性
- ページ表示速度やモバイル対応状況
リニューアルの際にこれらを軽視し、「見た目優先」で進めてしまうと、検索エンジンからの評価が下がり、結果的に順位も流入も落ち込む可能性が高くなります。
サイトリニューアル=流入アップ、というイメージに引きずられず、SEO観点での現状把握と維持・強化の設計を行うことが、成果維持には欠かせません。
2. SEOを配慮せずに起こった失敗事例
サイトリニューアルを実施したものの、SEOを軽視してしまったことで検索順位や流入が大きく落ち込む──そんな実例は決して珍しくありません。ここでは、あるキッチン用品のECサイトを対象とした失敗事例を紹介し、何が問題だったのか、どのように対応すべきだったのかを紐解いていきます。
事例概要と経緯
キッチン用品を扱うECサイトが、ユーザー体験を向上させる目的で大規模なリニューアルを実施。しかし、リニューアル後に多数のキーワードで順位が急落し、アクセス数も大幅に減少する結果となりました。
社内ではこの異変にすぐには気づかず、数か月が経過。その後、「今後はECサイトの施策を本格的に強化していこう」という社内の動きとタイミングが重なり、SEO領域における外部パートナーの検討が開始されました。そこで、弊社とのお取り組みがスタートすることとなりました。
分析を進めた結果、リニューアル後に基本的なSEO対応が抜け落ちていたことが明らかになり、それが流入減少の主な要因であることが判明しました。
具体的な失敗ポイント
① 301リダイレクト漏れ
旧サイトから新サイトへのURL変更が行われたにもかかわらず、301リダイレクトが設定されていませんでした。そのため、Googleなどの検索エンジンが旧URLの評価を新URLに引き継ぐことができず、商品ページの流入が激減しました。
② 内部リンクの不足
新たに作成したページに対し、既存ページからの内部リンクがほとんど貼られておらず、検索エンジンに新ページが認識されにくい状態になっていました。その結果、インデックス未登録ページが急増し、サイト全体の評価が低下する要因となりました。
③ タイトル・ディスクリプションの重複、canonicalタグの未設定
複数のページで同一または類似のタイトル・ディスクリプションが使われており、検索エンジンが各ページの違いを正しく評価できない状況が生じていました。 さらにcanonicalタグも設定されておらず、コンテンツの評価が分散する事態に。これにより、検索順位が著しく低下し、重複ページと誤認されることで、サイト全体の評価低下につながりました。
失敗事例からの教訓と対応策
この事例から見える最大の教訓は、「リニューアルの技術的対応がSEOに直結する」という点です。特に以下の点には注意が必要です。
- URLが変更される場合は必ず301リダイレクトを設定する
- 内部リンク設計を事前に計画し、検索エンジンが巡回しやすい構造にする
- 各ページのタイトル・ディスクリプションはユニークに設計し、評価の分散を防ぐためcanonicalタグを適切に設定する
「見た目が新しい=検索に強い」とは限らないという現実を、まさにこの事例が証明しています。
弊社では、リニューアル時に抜け落ちたSEO施策を漏れなく実施し、リニューアルから10か月ほどかけてリニューアル以前の流入数への回復と、一部キーワードではリニューアル前よりも高い順位を記録する結果につながりました。
3. SEO戦略を組み込んだ成功事例
次にご紹介するのは、SEOを事前に設計に組み込むことで、リニューアル後の順位低下を最小限に抑え、さらにパフォーマンス向上につなげた成功事例です。対象となったのは健康食品を扱うECサイトで、専門性が求められるYMYL領域に該当していました。
事例概要と対策内容
このECサイトでは、リニューアル前から約1年にわたってSEO対策に取り組んでおり、一定の成果が見え始めていました。そのタイミングで、「ブランドイメージを刷新し、よりUI/UXを強化したい」との目的からサイトリニューアルが決定。
しかし、SEOの影響を軽視すれば、これまで積み上げてきた評価が失われる可能性があることを認識し、リニューアル段階からSEO観点を重視した設計・実装を実施しました。
具体的な成功ポイント
① 301リダイレクトの徹底
URL構造が全面的に見直されることになったため、すべての旧URLに対応する301リダイレクトを設計。事前に全ページのリストを作成し、漏れなくマッピングしたことで、旧URLの評価を新URLへ確実に引き継ぐことができました。
② サイト構造の最適化とページスピード施策の実施
リニューアルを機に、これまで着手できていなかったカテゴリ構造の見直しやページスピードの改善にも本格的に取り組みました。これらは、通常の運用下ではシステム改修や大規模な設計変更が伴うため、コストや工数の観点から後回しにされがちでしたが、リニューアルのタイミングを活かして一気に実行に移しました。
- カテゴリ構造の整理により、ユーザーも検索エンジンも意図が把握しやすい階層設計を実現
- ページスピード改善については、画像の最適化・不要スクリプトの削除・キャッシュ制御の見直しなど、通常運用では対応しづらい細かな施策も実施
これにより、サイト全体の構造がより論理的かつ明快になり、クロール効率やユーザビリティが大幅に向上しました。また、ページ表示速度の改善は、ユーザーの離脱防止とCVR(コンバージョン率)向上にも寄与する重要な要素であり、リニューアルにあわせて行う価値のある施策だったといえます。
③ コンテンツ内容の維持
商品ページの一部コンテンツを改編したいという要望もありましたが、SEO的に重要なテキスト要素や構成は極力維持することが推奨されます。検索エンジンは、特定のテキストや情報構造からページの専門性や有用性を評価しているため、むやみに削除・改変してしまうと順位に悪影響を及ぼす可能性があります。
そこで弊社では、見た目とSEOのバランスを取りながら編集指示を行い、ユーザー視点のデザイン刷新と検索エンジン評価の維持という両立を図りました。具体的には、重要キーワードの出現箇所や情報ブロックの順序をなるべく変えず、視認性やレイアウトのみを調整する方針で対応しています。
④ タイトル・ディスクリプション、主要タグのルール設計
全ページでユニークなタイトル・ディスクリプションのルール設計を行い、評価の分散を防止。また、H1・構造化データ・canonicalタグなども含めたタグ管理のガイドラインを用意し、検索エンジンに正確に意図が伝わるよう配慮しました。
サイトリニューアル後の結果
リニューアル直後、一部の注力キーワードにおいて一時的な順位下落(2位→5位程度)が確認されましたが、2ヶ月後には順位が回復し、その後1位まで上昇。SEO観点からの丁寧な事前対応と実装チェックが、大きな評価損失を防ぐ結果につながりました。
成功から学ぶ応用のヒント
この事例が示すのは、「リニューアルの成功=SEOの事前準備次第」 という事実です。 表面的なデザイン刷新やUI改善だけではなく、検索エンジンにどう評価されるかを意識した設計・実装が、リニューアル成功の鍵を握っています。
特に、リニューアルには多くの費用と工数がかかるため、実施後にパフォーマンスが落ちてしまうと損失は非常に大きくなります。だからこそ、事前段階からSEOを戦略的に組み込み、「順位を守る・伸ばす」設計を同時に行うことが推奨されます。
見た目を変えるだけでなく、評価され続けるための“内部設計”にも最新の注意を払う。それが、成果を持続・向上させるための本質的なリニューアルのあり方です。
4. サイトリニューアル時に見落とされがちなSEO注意点【15選】
サイトリニューアルでは、見た目の改善や新機能の追加に気を取られがちですが、SEOの基本対応が漏れることで順位や流入が大きく落ちるリスクがあります。下記は特に見落とされやすい15項目のチェックリストです。
No. | 注意点 | 内容 |
---|---|---|
1 | 301リダイレクトの設定漏れ | 旧URL→新URLに正しくリダイレクトされていないと、評価が引き継がれず順位下落の原因に。 |
2 | URL構造の変更による評価リセット | URLが大幅に変わると、検索エンジンが新しいページと判断し、過去の評価がリセットされる可能性。 |
3 | title・descriptionの不適切な変更 | 重複・一括置換により、検索意図と合わないタイトルや説明文になるとCTRや評価が低下。 |
4 | 内部リンク構造の崩壊 | ナビゲーションやリンクが変更され、重要ページへの導線が途切れることでクロール効率が悪化。 |
5 | noindexやrobots.txtの誤設定 | 開発環境の設定が残ったまま公開されると、ページがインデックスされず流入ゼロに。 |
6 | canonicalタグの設定ミス・漏れ | 重複ページが正規化されず、評価が分散したり、検索順位が不安定になる。 |
7 | H1・見出し構造の変更 | H1タグの過不足・見出し階層の乱れにより、ページの主旨が伝わりづらくなる。 |
8 | 画像のalt属性・ファイル名の未最適化 | alt未記載やファイル名の統一性がなく、画像検索やアクセシビリティ評価に悪影響。 |
9 | パンくずリストの構造不備 | 構造化されていないパンくずリストはSEO効果が薄く、検索エンジンへの理解を妨げる。 |
10 | モバイル対応の欠如または不十分 | モバイルファーストの現在、スマホで見づらいと大きなマイナス評価になる。 |
11 | ページ読み込み速度の低下 | デザインの重さやコード肥大化により表示速度が落ち、ユーザー離脱や順位低下の要因に。 |
12 | SSL(https)化の対応漏れ | 非SSLのままだと警告が出て信頼性が低下し、SEOでもマイナス評価となる。 |
13 | 構造化データ(Schema.org)の未実装 | リッチリザルトや専門性の示唆に役立つが、未対応だと競合と差がつく。 |
14 | サイトマップ(XML・HTML)の提出・更新漏れ | リニューアル後のURL構造に合わせてサイトマップを更新・再送信しないと、クローラーが正しく認識できない。 |
15 | 低品質コンテンツの量産・自動生成 | ボリュームを増やしても内容が薄いと、全体評価を落とすリスクがある。 |
これらの注意点をリニューアル前後で確実にチェックすることで、SEO評価の下落を防ぎ、パフォーマンスを維持・向上させることが可能になります。
弊社のリニューアルSEOでは、上記をはじめとしたリニューアル時に注意すべきSEO項目をレギュレーションとしてまとめ、リニューアル時に漏れなく設定されるように指示しています。 また、実装が正しく行われているかのテスト環境での実装チェックや、ローンチ後の確認までセットで行うことが可能です。
5. サイトリニューアルを検討すべきタイミング
サイトリニューアルは大きな予算と工数を伴う一大プロジェクトです。しかし、「なんとなく気に入らないから」という理由だけで進めてしまうと、期待した効果が得られなかったり、SEO評価を落としてしまうリスクもあります。ここでは、本当にリニューアルを検討すべきタイミングを具体的にご紹介します。
デザインの改編をしたい
サイトのデザインが古く感じられたり、UI/UXが今のトレンドやユーザー行動と合っていない場合は、リニューアルを検討すべきタイミングです。特に、スマートフォンでの操作性や視認性が悪いと、ユーザーの離脱率が高まり、コンバージョン率にも悪影響を与えます。
離脱率・コンバージョン率・滞在時間など、現状の数値をきちんと把握したうえで判断すれば、リニューアル後の成果測定もしやすくなります。
モバイル非対応や表示速度が著しく遅い
Googleがモバイルファーストインデックスを導入している現在、モバイル対応の有無はSEOに直結します。また、読み込み速度の遅さはユーザー体験を損ね、離脱率を引き上げる要因にも。
モバイル最適化・スピード改善が困難な構造になっている場合は、技術的な刷新を伴うリニューアルを検討する価値があります。
CMSや技術基盤の老朽化
現在のCMSやシステムが古く、セキュリティ更新や新機能追加に対応できない場合、長期的な視点でのリニューアルが必要です。 運用負荷が高く、担当者が更新や改善を躊躇する状態であれば、管理効率を高めるリニューアルが事業継続性にも寄与します。
ブランド刷新・サービス変更が必要なとき
ブランドの方向性やサービス内容に大きな変化があった場合、サイト上にもそれを的確に反映させる必要があります。ビジュアルだけでなく、ナビゲーション構造やコンテンツ内容にも見直しが必要となるため、部分的な改修ではなく全体リニューアルが効果的です。
常時SSL化に対応していない
現在では、常時SSL(https)化はユーザーからの信頼獲得とSEOの両面で必須です。「http://〜」のままでは、ブラウザに「保護されていない通信」と表示され、離脱の原因や信頼性の損失につながる可能性があります。
6. FAQ(よくある質問)
ここでは、サイトリニューアルにおけるSEO対応について、実際によくいただくご質問にお答えします。プロジェクトの初期段階で不安になりがちなポイントを中心にまとめています。
Q1:リダイレクト忘れで順位回復にはどのくらい時間がかかる?
A:状況によって異なりますが、正しいリダイレクト設定を行ってから1〜3ヶ月程度で順位が徐々に回復していくケースが多いです。 ただし、評価が完全に戻らないこともあり、リダイレクト漏れの放置期間が長いほど回復が困難になります。早期の対応が鍵です。
Q2:コンテンツ構成を変えるとSEOに悪影響がありますか?
A:構成を大きく変更する場合、既存の評価ポイントを削ってしまうリスクがあります。 特に、テキスト量の削減や、主要キーワードが含まれた見出し・本文の削除などは慎重に行うべきです。見た目を整えるだけでなく、SEOの評価要素を残す編集方針が重要です。
Q3:内部リンク見直しのポイントは?
A:重要なのは以下の3点です。
- 関連性があるページ同士をつなぐこと
- トップページ → カテゴリ → 商品ページの階層構造を意識すること
- リンクが自然な形でユーザーにも価値があること
内部リンクは、検索エンジンがサイト全体を正しく理解する助けになると同時に、ユーザーの回遊性向上にも貢献します。
Q4:リニューアルSEOを依頼する際の外注先を選ぶポイントは?
A:以下のような点をチェックするのがおすすめです。
- 実装チェック・ローンチ後のフォローまで対応できるか
- リニューアル時のSEO要件を体系的にまとめているか
- 開発チームやデザイン会社との連携体制があるか
- 過去に同様のリニューアルSEOの成功事例があるか
単なるSEO改善だけでなく、リニューアルという特殊なフェーズに対応できるノウハウと体制があるかが重要です。
7. 成果を落とさないリニューアルSEOのすすめ
サイトリニューアルは、見た目の刷新や機能強化だけでなく、SEO観点での慎重な対応が不可欠なプロジェクトです。
とくにリニューアル時は、「公開して終わり」ではありません。事前のSEO要件整理・設計、実装確認、そして公開後のモニタリングまで含めた対応が求められます。
リニューアルSEO支援サービスのご案内
弊社では、リニューアルに伴うSEOの失敗を未然に防ぐために、以下のようなフルサポート体制を提供しています。
対応範囲 | 内容 |
---|---|
SEO要件整理 | リニューアル対象サイトの現状分析と、SEO観点での設計要件をドキュメント化 |
開発・デザインチームとの連携 | 各チームと連携し、実装や構造設計に対する具体的なSEO指示を提供 |
実装チェック | テスト環境でのSEO施策の実装状況を確認し、リリース前にリスクを排除 |
ローンチ後のフォロー | 公開後の順位・インデックス状況をモニタリングし、必要なチューニングを実施 |
要件定義の段階で、SEO観点で必要な設計のアドバイス、レギュレーションを作成するだけでなく、しっかりとサイトに組み込まれているかの確認まで行います。リニューアル時に必要なSEOの知識や技術は、専門性の高い内容が多いため、外注することも選択肢のひとつとして検討するとよいでしょう。
リニューアルという大きな節目で、SEO評価を守り、成果を伸ばすためのパートナーとして、ぜひお問い合わせください。

SEOコンサルタントチーム
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