2025.06.05 2025.06.05

「検索で目立たせたい」「より的確に情報を伝えたい」──そんなSEOの悩みに応えるのが“構造化データ”です。
検索エンジンに自社サイトの情報を正しく伝えるためのこの仕組みは、クリック率の向上やリッチリザルトの表示といった成果に直結する可能性があります。一見すると難しそうに思える構造化データですが、仕組みと使い方のポイントを押さえれば、初心者でも問題なく活用できます。
本記事では、構造化データの基本的な考え方からSEOへの影響、具体的な種類や実装手順、そしてよくある失敗までを丁寧に解説。検索パフォーマンスの改善を目指すマーケティング担当者の第一歩として、ぜひ参考にしてください。
目次
構造化データとは何か?その基本と役割
構造化データの定義と仕組み
構造化データとは、ウェブページ上の情報に「意味」を持たせて整理・記述するための仕組みです。これにより検索エンジンがページの内容をより正確に理解し、ユーザーに適切な形で表示できるようになります。たとえば、あるページにレシピの情報があったとしても、HTMLだけではそれが「料理名」なのか「調理時間」なのか判別しづらい場合があります。構造化データを使えば、「この部分は調理時間」「ここは材料リスト」というように、コンテンツの意味を明示できます。
技術的には、構造化データは主にJSON-LD(JavaScript Object Notation for Linked Data)という形式で記述されます。これは、ページのHTMLとは独立して情報を持たせられるため、柔軟性が高く、Googleも推奨している形式です。
なぜ構造化データが必要なのか
検索エンジンは進化を続けていますが、それでも人間のように直感的に情報を理解するのは困難です。構造化データは、ページの中にある「意味のある情報」を、検索エンジンが解釈しやすくなるように補助する役割を担っています。
また、ユーザーにとっても構造化データは有益です。なぜなら、検索結果の中でリッチリザルト(画像付き、評価付き、FAQ付きなど)が表示されることにより、視認性が高まり、クリック率が向上する可能性があるからです。つまり、構造化データは検索エンジンとユーザーの両方に価値を提供するテクノロジーと言えます。
詳しくは 構造化データの概要(Google公式) をご覧ください。
構造化データとSEOの関係性
検索結果に与える影響(リッチリザルトなど)
構造化データは、検索順位自体を直接押し上げる要因ではありません。しかし、検索結果の見た目(=検索スニペット)を強化し、ユーザーのクリックを促進するという点でSEOにおいて極めて重要な役割を果たします。
たとえば、構造化データを使ってレシピや商品レビューなどの情報をマークアップすると、検索結果に画像・星評価・価格・FAQなどが表示される「リッチリザルト(拡張スニペット)」として登場します。これにより、通常のテキストリンクよりも視認性が高まり、クリック率(CTR)が上がる傾向があります。
事実、Googleは構造化データによって表示される情報を「Search Features」として明確に区別しており、対応しているコンテンツタイプであれば積極的に導入すべきとされています。
Googleの構造化データに対する方針
Googleは公式に、構造化データの活用を推奨しています。中でもJSON-LD形式の使用が最も好ましいと明言されており、検索ギャラリーでは対応している各種マークアップの種類が紹介されています。
ただし、Googleが示すガイドラインには厳密に従う必要があります。内容が不正確であったり、誤解を招く記述があると、リッチリザルトの表示対象から除外されることもあります。また、構造化データを導入したからといって必ずしも即座にリッチリザルトが表示されるわけではない点にも注意が必要です。
Googleの方針や詳細な仕様は、構造化データに関する公式ガイドで確認することができます。
代表的な構造化データの種類と用途
Article/Breadcrumb/Product などの具体例
構造化データには多種多様な種類があり、目的に応じて適切なものを選ぶことが重要です。ここでは、SEO初心者でも扱いやすい代表的な構造化データをいくつか紹介します。
Article(記事)
ニュース記事やブログ投稿などに使用されます。記事タイトル、著者、投稿日、サムネイル画像などを指定できます。特にGoogleニュースやDiscoverに表示される可能性が高まります。
参考:記事(Article、NewsArticle、BlogPosting)の構造化データ
用途: ブログ記事やニュース投稿など。著者名、投稿日、画像などを指定可能。
記述例:
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Article",
"headline": "記事タイトル",
"description": "記事説明文",
"image": [
"https://example.com/photos/1x1/photo.jpg",
"https://example.com/photos/4x3/photo.jpg",
"https://example.com/photos/16x9/photo.jpg"
],
"datePublished": "2024-01-05T08:00:00+08:00",
"dateModified": "2024-02-05T09:20:00+08:00",
"author": [{
"@type": "Person",
"name": "著者名",
"url": "https://example.com/profile/aaa/"
}],
"publisher":{
"@type": "Organization",
"name": "会社名",
"url": "https://www.example.com"
}
}
</script>
Breadcrumb(パンくずリスト)
ページ階層を検索結果に明示できるため、ユーザーがサイト構造を理解しやすくなります。例えば「ホーム > 商品カテゴリ > 商品名」といった表示が可能です。
参考:パンくずリスト(BreadcrumbList)の構造化データ
用途: サイト階層を明示し、ユーザーの位置をわかりやすくする。
記述例:
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "BreadcrumbList",
"itemListElement": [
{
"@type": "ListItem",
"position": 1,
"name": "ホーム",
"item": "https://example.com/"
},
{
"@type": "ListItem",
"position": 2,
"name": "ブログ",
"item": "https://example.com/blog"
},
{
"@type": "ListItem",
"position": 3,
"name": "構造化データとは"
}
]
}

Product(商品)
ECサイトなどで利用され、価格・在庫状況・レビュー評価などをリッチリザルトに表示できます。購入意欲の高いユーザーへの訴求力を強化するのに有効です。
用途: ECサイトの商品詳細ページに。価格・在庫・レビューを検索結果に表示。
記述例:
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org/",
"@type": "Product",
"name": "商品名",
"image": [
"https://example.com/photos/1x1/photo.jpg",
"https://example.com/photos/4x3/photo.jpg",
"https://example.com/photos/16x9/photo.jpg"
],
"description": "商品説明文",
"sku": "0446310786",
"mpn": "925872",
"brand": {
"@type": "Brand",
"name": "ブランド名"
},
"review": {
"@type": "Review",
"reviewRating": {
"@type": "Rating",
"ratingValue": 4,
"bestRating": 5
},
"author": {
"@type": "Person",
"name": "投稿者名"
}
},
"aggregateRating": {
"@type": "AggregateRating",
"ratingValue": 4.4,
"reviewCount": 89
},
"offers": {
"@type": "Offer",
"url": "https://example.com/products/aaa/",
"priceCurrency": "JPY",
"price": 1000,
"priceValidUntil": "2024-11-20",
"itemCondition": "https://schema.org/NewCondition",
"availability": "https://schema.org/InStock"
}
}
</script>
LocalBusiness(ローカルビジネス)
飲食店、美容室、病院、オフィスなど、地域に根ざしたビジネスに使用されます。ビジネス名、住所、電話番号、営業時間などを記述でき、Google検索やGoogleマップでの露出を高める効果が期待されます。検索結果に店舗情報が強調表示されたり、ユーザーの行動(訪問・電話・予約)に直結しやすくなるため、実店舗ビジネスにとっては非常に重要な構造化データです。
参考:ローカル ビジネス(LocalBusiness)の構造化データ
用途: 実店舗・サロン・医院・オフィスなどのビジネス情報を表示。営業時間や住所、電話番号などがGoogle検索やマップに反映されやすくなります。
記述例:
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "LocalBusiness",
"name": "店舗名",
"image": "https://example.com/images/clinic.jpg",
"address": {
"@type": "PostalAddress",
"streetAddress": "渋谷区渋谷3-19-1",
"addressLocality": "東京",
"postalCode": "150-0002",
"addressCountry": "JP"
},
"telephone": "+81-3-1234-5678",
"openingHours": "Mo-Fr 09:00-18:00",
"url": "https://example.com/clinic"
}
これらはすべてGoogleが対応している構造化データタイプであり、公式の検索ギャラリーにも掲載されています。
JSON-LD形式の基本と理由
構造化データの記述には複数の形式(Microdata、RDFa、JSON-LD)がありますが、Googleが明確に推奨しているのがJSON-LD(JavaScript Object Notation for Linked Data)形式です。これはHTMLの内部に直接書き込むのではなく、<script type="application/ld+json">
タグを使ってページ内に挿入する方法です。
JSON-LDの主な利点は以下のとおりです:
- HTMLの構造に干渉せず記述できるため、既存のコードへの影響が少ない
- 読みやすく、保守性が高い
- ツールによる自動生成・管理がしやすい
Googleがこの形式を「最も推奨する」と明言していることから、特別な事情がなければJSON-LDを用いるのがベストプラクティスです。
構造化データの実装ステップと注意点
CMS・HTMLに組み込む基本的な方法
構造化データの実装は、使用しているサイトの構造やCMSに応じて異なりますが、基本的な流れは共通しています。主に以下の2通りの方法があります:
🛠 構造化データの実装方法 比較表
実装方法 | 対象者 | 実装場所 | 特徴・利点 |
---|---|---|---|
HTMLに直接記述(静的サイト) | 開発者向け | <head> または<body> 内 |
– 自由度が高く、細かな調整が可能 – 既存コードに合わせて柔軟に対応可能 |
CMSプラグイン(WordPressなど) | 初心者〜中級者向け | 管理画面から設定 | – コーディング不要 – Yoast SEOやSchema Proなど視覚的に操作可能 |
また、Googleが提供する「リッチリザルト テスト」や「構造化データテストツール(旧版)」などを活用すると、実装の結果を即座に確認できます。
テストとエラー回避のポイント
構造化データを正しく実装しても、形式ミスや不完全なマークアップがあるとGoogleに正しく認識されないことがあります。そのため、以下のテストツールを使った事前確認が重要です。
-
リッチリザルト テスト URLまたはコードを入力して、Google検索でリッチリザルトが表示される可能性をチェックします。
-
構造化データテストツール(レガシー版) 形式や構造の妥当性を詳細に確認できます(デバッグ用途として今も有効)。
エラーの多くは「必須項目の抜け」や「無効な値の記載」に起因しています。特に注意すべきなのは、以下のような点です:
- 意図しない日本語変換や全角記号によるフォーマット崩れ
- 他ページと同じ構造をコピーして不整合が生じるケース
- 一部だけマークアップしていて整合性が取れない構造
これらを避けるためにも、テストと検証を丁寧に行う習慣が重要です。
構造化データ導入でよくある誤解と失敗例
「実装すれば即SEO効果が出る」などの誤解
構造化データを導入すると「すぐに検索順位が上がる」と誤解されがちですが、これは大きなミスリードです。Googleは構造化データをランキング要因の一部としては扱っていないと明言しており、実装したからといって順位が即座に向上することはありません。
しかし、クリック率(CTR)やユーザー体験の向上には直接つながるため、間接的にはSEOに好影響を与えることが多いのは事実です。たとえば、FAQ構造化を入れることで、検索結果にQ&Aが表示され、ユーザーが知りたい情報にすぐアクセスできるようになれば、サイトへの信頼性も高まり、結果として流入増加につながる可能性があります。
そのため、「順位アップの魔法のツール」ではなく、「ユーザーによりよい情報を届けるための補助機能」として捉えることが大切です。
形式ミスや意図と異なる表示例
もうひとつのよくある落とし穴が「形式ミス」や「構造の不整合」によるエラー、もしくは「意図しない検索結果表示」です。たとえば、商品ページに対してProduct構造化を適用したものの、価格情報が動的に生成されていてJSON-LDと一致していなかったために、Googleに無効と判定されたというケースもあります。
また、FAQ構造化において同じ質問を複数ページで使い回した結果、重複コンテンツと判断されて表示されなくなったという事例も存在します。
構造化データは「正確かつ一貫性のある内容」が評価されるため、下記のようなチェックが重要です:
- 実際のページ内容と構造化データの内容が一致しているか
- 使用している構造化タイプが対象ページの目的とマッチしているか
- マークアップの形式やシンタックスに誤りがないか
失敗事例から学びつつ、実装前の検証・テスト・メンテナンスを習慣化することが、成果を最大化する鍵です。
まとめ|構造化データの価値と次のステップ
構造化データは、検索エンジンに情報を正確に伝えるための強力な仕組みです。ページの内容に意味を持たせて整理することで、ユーザーにとってもわかりやすく、視認性の高いリッチリザルト表示が可能になります。これにより、クリック率の向上やコンバージョンの機会拡大につながることも多く、SEO施策の一環として導入する価値は非常に高いといえるでしょう。
ただし、「実装すれば順位が上がる」といった誤解を避け、あくまでユーザー目線の利便性を高める補助機能として扱うことが重要です。また、Googleのガイドラインを守ることはもちろん、実装後の検証・メンテナンスも欠かせません。
これから構造化データを導入しようと考えている方は、以下のような次のステップを検討してみてください:
- 自社サイトに適した構造化データタイプを選定する
- CMSやツールを使って無理なく実装する
- テストツールでエラーを確認し、定期的にメンテナンスを行う
- 表示状況をSearch Consoleなどでモニタリングする
もし、自力での設計や実装に不安がある場合は、外部の専門家に相談するのも一つの手段です。 詳しくは SEOコンサルティング をご覧ください。
FAQ|よくある質問
Q1:構造化データを導入すればSEO順位は上がりますか?
いいえ、構造化データを実装したからといって、直接的に検索順位が上がることはありません。Googleも「ランキング要因ではない」と明言しています。ただし、リッチリザルト表示などによって検索結果での視認性が高まり、クリック率(CTR)が向上する可能性があるため、間接的にSEO効果を期待することはできます。
Q2:初心者でも構造化データを扱えますか?
はい、基本的な構造化データであればテンプレートやプラグインを使って簡単に実装可能です。特にWordPressなどのCMSを利用している場合は、専用のプラグイン(例:Yoast SEO、Schema Proなど)を使うことで、コーディング不要で設定できます。また、Googleが提供するテストツールもあるため、導入後の確認も安心して行えます。

SEOコンサルタントチーム
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